ベトナム現地法人による親会社への立替金返済と利益送金

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ベトナムへ進出するにあたって懸念されるリスクの一つとして、税務リスクの問題があります。
現地の複雑な法令が、日本企業の事業運営の弊害となることもありますが、事前にリスクを把握し準備することで、トラブルを回避することもできます。

これまでの投稿では、実際にベトナムへ進出した日本企業がよく直面する課題として、移転価格税制外国契約者税 について、詳しくご紹介させて頂きました。

今回は、ベトナム現地法人による親会社への立替金返済と利益送金について、ご説明いたします。

 親会社による立替金の返済について


ベトナムに進出する際、現地法人の登記手続きを進めていく中で、親会社などから資本金の出資が完了し、実際に現地法人名義での決済が可能になるには、ある程度の日数を要します。

その間に必要になってくる現地設立関連費用(事務所賃貸料、土地リース料、オフィス・駐在員の駐在費用、業務用の事務備品代、コンサルティング費用など)は日本の親会社が立替えることが一般的であり、実際にそういった立替費用を事業開始後の現地法人から親会社へ返済される企業様もあります。

ただベトナムからの海外送金は、それが現地法人設立に使用した正当な立替金の返済という名目であっても容易ではなく、手続きが非常に煩雑です。

2014年の9月に発行された 外貨管理ガイダンス(外貨規制)に関する通達 19/2014/TT-NHNN では、現地法人設立関連費用を親会社が立替える際は、親会社がベトナム国内の銀行に非居住者の口座を開設し、その口座を通じて取引先への支払いを行わなければならず、親会社より直接支払う費用に対しては返済できなくなりました。

他にも親会社と現地法人との間で、正式な書面(立替合意書)が必要であったり、公式インボイスの宛名は立替える親会社の名義である必要があったり、これらの決まりごとに準じて処理を行わなかった場合、仕入れ VAT の税額控除がされない、現地法人の経費として損金算入できない、強いては、立替金を親会社へ返済(送金)できないといったトラブルまで起こり得ます。実際に立替金の返済ができないトラブルに見舞われた日本企業の現地法人が、立替金を資本勘定やローンに振替ざるを得ない事例も多々あり、注意が必要です。

立替金の返済は制約が多く容易ではないものの、実際に返済をした企業様もありますので、立替をする企業様は、現地の取引先銀行、会計監査事務所、コンサルタントなどに相談してみては如何でしょうか。

 

親会社への利益送金について

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現地法人が事業を開始し、事業が軌道にのってくると、ベトナム法人の現地収入も増えて来ます。そういった資金を多くの企業様は、敷地内に工場や倉庫を増設したり、設備を増やしたり、別の地域に新たに土地をリースして新たな国内拠点を設立するなど、まずベトナム法人の拡大に使用し、ある程度ベトナム拠点の拡充も終えると、ベトナムの利益を出資元の日本の親会社へ還元されます。

ここでは、ベトナムの利益を親会社(日本)へ還元(送金)する方法について、ご説明させて頂きます。

以下の3つの方法が考えられます。

1.  利益配当 
2.  親子ローンの利息 
3.  ロイヤリティ 

まず 1番の利益配当による還元ですが、現地法人が繰越欠損金が無い場合、年度末監査後に法人税引後利益を年1回のみ送金が可能です。*累積で利益が出ていなければ配当として送金することはできません。

配当の送金を行うにあたり、

  • 年度末監査を完了していること
  • 年度末監査報告書を税務当局へ提出していること
  • 送金実行の1週間前(7営業日)までに配当送金の旨を管轄の税務当局へ報告すること

などの条件があります。配当送金に関して税務当局へ報告した際、税務当局から配当送金希望を受領した内容の返答レターが届きます。取引する銀行によっては、送金書類の中にそのレターの添付が必要になりますので、配当の送金を行う前に取引銀行や管轄の税務当局へご確認されるといいでしょう。またベトナムでは利益送金時に、配当金に対して課税されることはありません(*還元先の日本などでは課税されます)ので、利益還元の際はまず配当金の送金を検討されてみてはいかがでしょうか。

次に、2番目の親子ローンによる利息送金について、こちらは配当金と違って累積損失が計上されている場合でも送金は可能となります。ただし、先日ご紹介した外国契約者税として、借り入れの利息に対して 5%が課税される、また長期ローン(1年以上)を組む際にはベトナム中央銀行への申請義務が必要、短期ローン(1年以内)の場合は原則資本金口座での入金が必要など、細かな制約が決められているので注意が必要です。

最後に、ロイヤリティによる利益の還元です。こちらの方法を利用して親会社へ送金を行う日本企業様も増えています。主には、技術使用料や技術指導料という名目で日本の親会社へ送金されることが多いのではないでしょうか。ロイヤリティの送金は、他の方法による利益送金に比べて、必要書類や手続きはそれほど煩雑ではありませんが、送金時に10%の法人税が源泉徴収されますので、その点に関しては注意が必要かと思います。

以上、「ベトナム現地法人による親会社への立替金返済と利益送金について」でした。

3回の投稿に分けて、ベトナムにおける税務上の課題やリスクをご紹介させて頂きました。

過去2回の投稿は以下のリンクです:
- ベトナムの移転価格税制について
- ベトナムの外国契約者税について

合わせてご覧いただけますと幸いです。

ベトナム現地の複雑な法令が、日本企業の事業運営の弊害となることもありますが、事前の税制などを把握し準備することで、トラブルを回避することもできます。

皆様のベトナム現地での事業運営で、何かお困りのことがございましたら、ぜひ当社へご相談くださいませ。

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