ベトナムの外国契約者税 について

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ベトナムへ進出するにあたって懸念されるリスクの一つとして、税務リスクの問題があります。現地の複雑な法令が、日本企業の事業運営の弊害となることもあり、実際に進出した日本企業各社がどのような税務問題に直面しているのか、

1. 移転価格税制
2. 外国契約者税
3. ベトナム現地法人による親会社への立替金返済と利益送金

これらベトナム事業展開における3つの税務事情についてご紹介させて頂きます。

前回は 移転価格税制 について、ご紹介いたしました。

今回はベトナムの外国契約者税についてまとめたいと思います。

どの内容も日本企業が現地で直面する課題としてよく挙げられますが、事前にリスクを把握し準備することで、大きなトラブルを回避することもできます。

ベトナムの外国契約者とは


ベトナムの外国契約者税(Foreign Contractor Tax、略称FCT: ベトナム語 - Thuế nhà thầu nước ngoài)とは、海外の法人または個人(以下、外国契約者とします)が、ベトナムの法人または個人と契約を結び、ベトナム国内でサービスを提供した結果、そのサービスに対する対価として得た所得に対して掛かる税金です。

海外から物品を輸入する貿易取引に輸入関税が課税されるのに対して、海外からサービスを購入した場合に課税されるのが、この外国契約者税であり、法人税(CIT)または個人所得税 (PIT)、及び付加価値税 (VAT)から構成されています。

納税方法として、サービスを購入したベトナム側の買い手が、外国契約者へ対価を支払う際に、FCT納税額を源泉徴収することで代理で申告・納税を行うのが一般的です。*外国契約者が直接納税する場合もありますが、また後ほどご説明させて頂きます。

ベトナムの外国契約者税の一例として、以下が考えられます。

ベトナムのメーカーが日本の会社より、生産設備を購入。ベトナムで設備を引き渡しを行い、自社で据付ができないため、設備を購入した日本の会社に工場での据付も依頼し、別途、据付費用が発生しました。

単なる製品の輸入に対しては、外国契約者税は掛かりませんが、据付サービスの提供を受けることで、このサービス料に対して外国契約者税5%(CIT 2%+VAT 3%)が発生し、さらに注意すべきは、設備の代金に対してもサービスが付随した物品販売であるされ、外国契約者税(CIT 1%)が掛かるので注意が必要です。

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ベトナム 外国契約者税 の適用対象者と納税方法


ベトナムの法人および個人との契約に基づいて、ベトナム国内で提供したサービスによって所得を得る外国の法人および外国人が(一部の条件に適合する場合を除き)適用対象者となります。(外国の法人はベトナムに恒久的施設を有しているか、また個人として取引をする外国人も ベトナムに居住しているかどうかは問わず、全て対象となります)*本来の日本とベトナムの租税条約においては、恒久的施設を持たない日本企業はベトナムで得た所得に対しては法人税は課されないはずですが、多くの日本企業がベトナム側で課税されているのが現状です。

納税方法は、3種類あります。

1. 源泉徴収方式
- ベトナム側の買い手が外国契約者に代わって申告・納税し、支払い金額より控除します。

2. VAS方式
- 外国契約者が自ら申告・納税を行います。

3. ハイブリッド方式
- 上記1と2の折中により申告・納税を行います。

2番、3番の方法は、外国契約者がサービスを提供する期間が183日以上であるなどの一定要件を満たして選べる方式であるため、多くの外国契約者は1番の方式にて納税しています。

ベトナム 外国契約者税 の課税対象取引とみなし税率


外国契約者税は、どのような取引に対して課税されるのでしょうか?

以下、課税対象取引の一覧と税率の内容です。

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参考サイト:  ベトナム法務省 関連サイト 通達: 103/2014/TT-BTC 号 (2014 年 8 月 6 日)

ベトナム 外国契約者税の計算方法

外国契約者税 = 課税売上高 × 税率(VAT)+ VATを差し引いた課税売上 × 税率(CIT)

上記の一例(据付サービス)とみなし税率を用いて 課税金額ご説明いたしますと、1000万円の設備を購入し、別途100万円の据付費用が掛かったとします。

A: 据付サービス価格への課税(VAT&CIT)

100万円 × 3%(VAT)+ (100-3)  × 2%(CIT)= 4.94万円

B: 本体価格への課税(CIT)

1000万円 × 1% (サービスの付随した物品価格)= 10万円

上記の 4.94万円 と 10万円 の合計が今回の取引に掛かる外国契約者税であり、ベトナム側の買い手はこの金額を控除した額を外国契約者に対して支払うことになります。

*締結する契約書内に本体価格と据付サービス費を区別して明記されているか、サービス料込みで本体価格を算出されているかどうかによって、計算方法も違ってくるので気をつけないければなりません。

以上、本ページでは、ベトナムの外国契約者税について、ご紹介させて頂きました。

最近の現地税務調査では、この外国契約者税について指摘を受け、現地の日本企業も然り、追徴課税などを課させる外資企業が多くなって来ていますが、まだ十分に整備しきれていない税制の一つであることから、ベトナムで外国契約者税が課税され、さらには日本でも課税と、法人所得に対して二重課税の問題も浮き彫りになってきています。

外国契約者税の対象者となる日本企業様は、現地の取引先との契約内容をよく吟味し、トラブルを回避するためにも現地の税務に詳しい会計事務所やコンサルタントと十分に話をして頂くことが大切かと思います。

以上、ベトナムの外国契約者税についてでした。

ほかにも、「ベトナムの移転価格税制」、「ベトナム現地法人による親会社への立替金返済と利益送金」について、
各リンクのページにてご紹介致しております。

合わせてご覧いただけますと幸いです。

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